ある日、ノスタルジーに浸りつつ、昔の資料眺めてたら、125ccのバイクに乗りたくなった。

で、中古車情報検索していたら琴線に触れるものがあり、XL125Rに目をつけた。
むか~し、ホンダのTLR200に乗ってた時期がちょろっとだけあって、構造はだいたい想像がついたのと、4st単気筒ってのが手頃でいいじゃない。
そんなガンガン走れる体でもないしね。

しかし、実車購入に至るにはいろいろと超えなければいけないハードルがあるので、とりあえず情報を集めることにした。

総合的な整備計画を立てるのは当然として、旧車に乗るからには電装系の 魔改造 もとい、改良に力を入れたいと思う。

XL125Rの発売は1982年。(その後マイナーチェンジが1985年)
それから現在までに最も進歩したのは何と言っても電装品(特に半導体)だろうし、その後厳しくなった安全基準には極力準拠しなければならない。

検討するため、配線図から主要部分を抜粋してみた。

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サービスマニュアルによると、このバイクはヘッドライト用のAC12Vその他の灯火類用のDC12V、そして点火のCDI用で合計3系統の電源を持っている。

うち、レギュレータを実装して電圧制御をかけているのはAC12VとDC12Vの電源系統で、AC12Vを制御しているのがACレギュレータ、DC12Vを制御しているのはレギュレートレクチファイヤだ。※1

電源の大元であるACジエネレータは単相3線式発電コイルに別系統の単相発電コイルを1個足したような仕組みになっている。
DC電源用の単相発電コイルはアースから浮いているので別途考えるとして、まずは単相3線式発電コイルに注目してみる。
単相3線式発電コイルの中性点が接地され、そこが基準電位となり、コイルの片方をCDIに、もう片方をAC12V回路に使用している。
このあたりは家庭用の交流電源と同じ仕組みだ。(家庭用とは位相が違うので、両出力間の電圧は2倍とはならないだろうけど)

うち、AC12V回路はヘッドライト専用の回路で、最初はここから改良に着手したい。

旧車あるあるで、現在のものと比べるとかなりヘッドライトが暗い
昔はそれでも良かったのだろうけど、やはり安全に直結する部分なので早急に対策が必要だと思う。
若い頃と違って夜目もきかんし。

明るくするためには電球での消費電力を増やすのが近道だ。
調べてみると、既設のコネクタのままでも45Wまでハイワッテージ化ができそうではあるが、ここではあえて限られた発電量の下で、電球のターミナルにかかる電圧を上げ、オーバードライブする方法を検討しよう。

過去の実験より、ハロゲンランプの照度は消費電力に概ね比例するので、ACジェネレータの電力量が十分ある状態で電圧を10%上げることができれば、2割程度の照度UPが期待できるはずだ。

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XL125Rで採用されているバルブは スタンレーT14.7/P15d-25-3
このランプの規格が確認できていないが、12Vのハロゲン球の場合、+10%の13.2Vが試験電圧とされていることが多いので、とりあえず安定して使えるギリのラインとして、この電圧を狙うことにしよう。

電源に話を戻そう。
ACレギュレータにはいくつか方法があが、この車体は単相ショート式レギュレータだと思われる。
ヘッドライトがACジェネレータから直接配線されていて、そこから供給される電圧は途中に設けられたACレギュレータが常にモニタしており、電圧が規定より高くなると回路を短絡して電流をコイルに戻してやることで電圧をカットする。電機子反作用を利用するわけだ。
一言で”短絡”とはいうものの、短絡路にも損失があり、制御回路の電力も必要なので、そこを効率化してやることで全体の省エネ化(低発熱化、小型化)が図れるかもしれない。
また、ACレギュレータを自作すると、電圧制御の作動電圧は任意に設定できるので、末端の電圧を見ながら調整することが可能になる。
ただし、ACレギュレータが壊れると、ジェネレータで発生した電圧が電球にまともに乗ってくるので安全性には十分な配慮が必要だ。

一方、ランプバルブとジェネレータの間にはライティングスイッチとディマスイッチ、これらにつながる配線が延々と張り巡らされている。
で、その接触抵抗やら線抵抗が結構なロスになっていて、ここを最適化してやれば損失が減らせられるはずだ。
いわゆるバッ直リレー化。(バッテリーじゃないけど)
これはウィンカーや尾灯などの灯火管制を別途考えているので、その項でやりたいと思う。

ということで、早速設計に取り掛かろう。

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