100℃に加熱したエンジンオイルの粘度を測定してみたくなったので、職場に転がってたジャンクパーツを集めて精密温度調節機能付きのヒーターを製作してみた。ちょっとヒマだったし。
φ1mmのシース熱伝対、PID制御機能付き電子温度調節器、定格10AのSSR。いずれもジャンクとは思えないほどの高級志向。かなり高精度での温度調節が期待できそうだ。
熱源としては市販の電気コンロを使うつもりにしているのだが、前述の条件から適当な電気容量を選定せねばならない。
と、いうことで、とりあえず感覚的に解りやすい[cal(カロリー)]を使って計算してみた。
一応、想定しているのは200ccのガラスビーカにオイルを入れ、直火で加熱。100℃まで10分程度でもっていくというもの。
参考文献によると、物体を加熱する際に要求される電力は次の式で与えられる。
すなわち単位重量あたりの物体を1℃昇温させるために必要な熱量に、実際の物体の質量と目標とする温度差を乗じ、昇温にかかる時間で除すればよい。
潤滑油の比熱は0.47[kcal/(kg・℃)]だそうだ。水のおおよそ半分のエネルギーで昇温できる。
密度はおおよそ0.85[kg/L]、測定に使うオイルの量は0.2[L]なので、これを乗じて0.0799[kcal/(℃)]。
温度差は計算しやすいように100[℃]に設定。昇温にかかる時間は10/60[hour]なので、
また、容器過熱に用いられる熱量W2[W]も同様の式で与えられる。ガラスの比熱は0.16[kcal/(kg・℃)]程度なのだそうだ。実験で使用するビーカーの質量は100[g]なので、
一方、加熱中に大気への放熱によるロスがあるので、これを考慮する。
この熱量は次式で与えられる。
周囲温度と物体の温度差100[℃]における油表面の放熱損失係数は1400[W/m2]だそうだ。実際には大気とオイルはガラスで隔てられているが、油表面からの放熱損失係数のほうが若干大きいので、こちらで統一する。
200[ml]のビーカーの直径は約63[mm]だから、これに入れられたオイルはφ0.063[m]×0.064[m]の円柱と考えて、表面積A=3.12+12.67=15.79[×10-3m2]
これを乗じて
同量の水なら、放熱損失は1500[W]にもなるから、やはり油は水に比べて熱しやすく冷めにくい。(注:100℃近辺なら)
結果、この実験に必要なヒーター容量はこれらの合計に安全率を掛けたものでよい。
うん、150[W]もあれば十分だ。確か工場の隅っこに200[W]のコンロが転がってたな。あとで実験してみよう。
※完成
後で気が付いたんだが、これって、用途によって熱源を変えてやれば、何でも出来そうな気がする。
例えば、電気ポットをつなげば温泉卵製造器、電球をつなげば孵卵器もできそうだ。
ホットボンドやハンダのドブ漬け槽も出来るだろうし、それから、えーっと。。。アイデア募集!
※謝辞
今回の製作について日本ヒーター株式会社、熱計算を参考にさせていただきました。
ありがとうございました。
φ1mmのシース熱伝対、PID制御機能付き電子温度調節器、定格10AのSSR。いずれもジャンクとは思えないほどの高級志向。かなり高精度での温度調節が期待できそうだ。
熱源としては市販の電気コンロを使うつもりにしているのだが、前述の条件から適当な電気容量を選定せねばならない。
と、いうことで、とりあえず感覚的に解りやすい[cal(カロリー)]を使って計算してみた。
一応、想定しているのは200ccのガラスビーカにオイルを入れ、直火で加熱。100℃まで10分程度でもっていくというもの。
参考文献によると、物体を加熱する際に要求される電力は次の式で与えられる。
W1 = 1.16×C×d×V×Δt/H
W1:電力 [W(ワット)]
H:昇温に要する時間 [hour]
C:比熱 [kcal/(kg・℃)]
d:密度 [kg/ℓ(キログラム/リットル)]
V:体積 [ℓ(リットル)]
Δt:温度差 [℃]=目標温度t [℃]-初期温度t0[℃]
すなわち単位重量あたりの物体を1℃昇温させるために必要な熱量に、実際の物体の質量と目標とする温度差を乗じ、昇温にかかる時間で除すればよい。
潤滑油の比熱は0.47[kcal/(kg・℃)]だそうだ。水のおおよそ半分のエネルギーで昇温できる。
密度はおおよそ0.85[kg/L]、測定に使うオイルの量は0.2[L]なので、これを乗じて0.0799[kcal/(℃)]。
温度差は計算しやすいように100[℃]に設定。昇温にかかる時間は10/60[hour]なので、
W1=47.94[W]
また、容器過熱に用いられる熱量W2[W]も同様の式で与えられる。ガラスの比熱は0.16[kcal/(kg・℃)]程度なのだそうだ。実験で使用するビーカーの質量は100[g]なので、
W2=11.14[W]
一方、加熱中に大気への放熱によるロスがあるので、これを考慮する。
この熱量は次式で与えられる。
W3 = Q×A
W3:放熱 [W(ワット)]
Q:放熱損失係数 [W/m2]
A:物体の表面積 [m2]
周囲温度と物体の温度差100[℃]における油表面の放熱損失係数は1400[W/m2]だそうだ。実際には大気とオイルはガラスで隔てられているが、油表面からの放熱損失係数のほうが若干大きいので、こちらで統一する。
200[ml]のビーカーの直径は約63[mm]だから、これに入れられたオイルはφ0.063[m]×0.064[m]の円柱と考えて、表面積A=3.12+12.67=15.79[×10-3m2]
これを乗じて
W3=22.11[W]
同量の水なら、放熱損失は1500[W]にもなるから、やはり油は水に比べて熱しやすく冷めにくい。(注:100℃近辺なら)
結果、この実験に必要なヒーター容量はこれらの合計に安全率を掛けたものでよい。
(W1+W2+W3)×1.25=101.49[W]
うん、150[W]もあれば十分だ。確か工場の隅っこに200[W]のコンロが転がってたな。あとで実験してみよう。
※完成
後で気が付いたんだが、これって、用途によって熱源を変えてやれば、何でも出来そうな気がする。
例えば、電気ポットをつなげば温泉卵製造器、電球をつなげば孵卵器もできそうだ。
ホットボンドやハンダのドブ漬け槽も出来るだろうし、それから、えーっと。。。アイデア募集!
※謝辞
今回の製作について日本ヒーター株式会社、熱計算を参考にさせていただきました。
ありがとうございました。